毎日のように、漫画・アニメ・ドラマ・ゲームといった架空の人物・世界に感情移入して育ち、

『勉強だけが人生ではない』 『勉強だけ出来ても駄目だ』 『ガリ勉は社会で通用しない』

などと甘い言葉に流されて勉学に対する努力を怠り、
その一方、ネット上では大企業・国家の方針を連日批判して悦に浸り、
ゲームやドラマで育んだ “特別でありたい” という願望を満足させ続ける毎日。

そうやって過ごしてきた人間が、大学3年の初冬、『現実』 を突きつけられてパニクる。
そして苦悩する。

──俺は散々蔑んできたブラックにしか就職できないらしい…
ブラックは回避できそうだが聞いたことのない企業にしかいけそうにない…
毎日大企業や国家の方針を議論してきたこの俺がそんなわけの分からん企業に──

漫画・ドラマで夢想し、ネット上で "活躍” を誇る彼等の自己評価と、
実際に彼らに襲い掛かってくる “現実” とのギャップは、大きく、厳しい。

ここでこの、“現実と理想のギャップ” を受け入れることの出来なかった人間が、ニートと化す。

これは高学歴でも低学歴でも同様。持つ理想、置かれた境遇が違いはするが、
自己評価・現実に対する認識が甘過ぎた人間であれば同じ道を歩む。

そして、そんな彼らは口をそろえてこう言う。

『企業が悪い。政治が悪い。社会が悪い。俺達が「働けない」のは俺達のせいではない』

そして彼等は、 “自分に相応しい境遇” を社会が彼等に “与えてくれる” 時を待ちながら、
今日も他人を罵り、国家や大企業を批判し、“特別な自分”をネット上で演じながら、
現実と “闘って” いるのである。