こんなどこを見渡しても地平線しかないような九十九里平野のど真ん中では、
そもそもベッドタウンとしての需要など、そんなものは最初からなかったのだ。
それはなによりもこの空地の数が証明している。
車の音もなく、小鳥のさえずりしか聞こえないこの地で、
わざわざ高額のローンを組んで家屋を建築することと、
吉田さんのように自ら小屋を建て、井戸水を汲み、
時には土を耕す生活の、一体どちらがこの地に相応しい利用方法か。
この分譲地の空き家の現状を見れば、その答えはもう出ているはずだ。