お盆中ながら電車激混み
山手線で端の席に座ってたんだが、東京駅からワサワサと乗ってきた6人家族
4〜5才の坊主がイエーイ!席ゲット!とばかりに俺の隣にジャピング着席してきた
その坊主、ゲーム機をいじりながらはしゃぐものだから肘や足が俺の腕やスネにガスガス当たる
子供とはいえ勘弁してくれよ…と思い、両親に目をやると2人ともスマホに夢中で気付かない

しかしその時、俺の前に白髪の善良そうな老婆がソロソロと移動してきた
手すりにつかまりながらいかにもしんどそうな様子
すぐ席を譲ろうと思ったが、俺の隣では相変わらず坊主が激しい動作でゲーム機と戯れ中
老婆にこの坊主をあてがうのも…と少し迷った
すると俺の真向かいの席にいたマツコ似の中年女が立ち上がり、「どうぞ」と老婆に席を譲ろうとした
が、老婆は「すぐ降りますから大丈夫です。ありがとうございます」と申し訳なさそうに断った

(まあ、とりあえずこれでいい…のか?)と坊主の肘鉄を散発的に受けながらぼんやりしていると、
真向かいの席にいるマツコ似と目が合った
マツコは少し顎を上げドヤ顔のような何とも形容し難い表情で俺を見ている
すぐ席を譲らなかった俺を軽蔑しているのか…とも思った
目の前の老婆は手すりにつかまり相変わらずしんどそうに見える
山手線はそれぞれの微妙に複雑な思惑を乗せたまま熱風の街を走る

老婆は申告通り神田で降り、ゲーム機坊主の6人家族は御徒町でまたワサワサと降りていった
坊主は降りる際に俺のつま先をまともに踏んづけて躓きそうになったが、
母親は「ほらほら…」と言うだけで最後まで気付かなかった