前科12犯のホームレス、出所しても「うれしくない」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170619-00000039-asahi-soci

刑務所を出た2日後に自転車を盗んだホームレスの男性(68)に京都地裁は先月、
懲役2年2カ月の実刑判決を言い渡した。だが、男性は、刑務所に戻ることが苦には
ならないと話す。自分を待つ人も行き場もなく、出所を喜んだこともないという。

4月末の初公判。被告人質問に立つ女性検察官の口調は次第に厳しくなった。

検察官「出所直後に自転車を盗んで、逮捕されると思わなかったんですか」
男性「足が痛くて……」
検察官「盗むしかなかったってこと?」
男性「お金もなくて。どうしようもなかったです」

背筋を伸ばして質問に答えてはいるが、積極的に反省の言葉が出てこない。

男性はホームレス生活と刑務所暮らしを20年以上繰り返してきた。窃盗など前科は12犯。
自転車を盗んだ罪で8カ月収容されていた神戸刑務所を3月6日に出所した。
その2日後、東山区の路上で自転車を盗み、逮捕された。

罪の意識はあったのか。京都拘置所で面会に応じた男性に尋ねた。「その瞬間は悪いとは
思うけど……」と一瞬黙り、「家はなくても食べなきゃいけなくて」と続けた。刑務所で得た
作業報奨金の5千円は、京都に戻る電車賃やラーメン代などに消えた。40代で離婚し
家族も家もない。かつて過ごした鴨川の橋の下に行くほかなかった。

出所2日後、午後から換金目的で空き缶拾いに出かけた。だが、この日に限って缶が少ない。
買い取ってくれる店は午後6時に閉まる。焦って探し回るうちに、自分の自転車を見失った。
足はパンパン。そんな時、無施錠の自転車を見つけた。何とか見つけ出した空き缶を載せて店へ。
500円を手に入れた。