「北斗の拳」をめぐる物語、なんてのも面白いですね。
1990年。世は198X年を迎えなかった。

高校時代のイジメ(和式便器への顔漬け、及びファースト・キスの相手が男子便所の白便器)、
これが決定打となり登校拒否からの留年、更には高校中退を引き起こすも、
当然に泣き寝入りしてしまった奥野。
23歳になった奥野は、街で偶然、高校時代の友達に遭遇する。
新社会人として齷齪と働く彼は奥野の境遇を聞き、その裕福で甘い実家の家風を羨む。

奥野の元同級生は大学を出てすぐ厳しい研修を受け、現在もノルマに追われて製造と営業に励む日々。
そして奥野が登校拒否を起こした所為でイジメの矛先が自分に向いてしまい苦労したと愚痴を零した。
「じゃあ何か、俺はアイツの弾除けだったのか!?」
「アイツは空手やってたから良いよ、でも俺は全然抵抗にならなくて、そして……」

奥野は更に7年間、働かず、学び直す事もせず、仕事以外に打ち込む事も見いだせず、煩悶して過ごす。
そんな日々を過ごすうち、地元から少し離れた須磨の町で一人の中学生ぐらいの少年が奥野の目に留まる。
暗い目をした少年アズマは、奥野のクルマの助手席でポツリポツリと、心の闇を打ち明かすようになる。

そこから、日本中を震撼させる事件が起き、それは各方面から格好の材料にされるのだが、それは別の話。
奥野のクルマのエアコンの暖房は、ACの割りに湿っぽくて、流れる車窓は、まるで氏にゆく都市の走馬灯。

……こんな感じで考えてみました。奥野の心の支えは「北斗の拳」。もし続けば、前向きな物語になりますよ。