私は、もう二度と夜の床に着くことはあるまい。
眠りの壁もしくは帷を越えてあの異様な夢の世界に赴いてしまえば、海の都ル・リェーに眠るあの悍ましい卑猥で猥雑な木彫りの彫像を思い起こしてしまうからだ。
眠りの神ヒプノスよ、願わくば私を最後の永久の眠りに導きたまえ!
秘密の内に眠る忌まわしきものから遠去けたまえ!
私の死期はもうそこに差し迫っている。
私が朝陽を眼にすることはもう無いのだ。
木彫りに書かれた、金正恩という名を目にしてしまったからには。