>>83
翠星石の体はあれやこれやでどうにか直ったが、トニーの虐待はこれで終わりではなかった。
むしろ始まりだったのだ。
蒼星石を目の前で殺されてから数日後、翠星石は抜け殻のように静かだった。
「ッチ、これじゃ苛めようがないな」
相手の恐怖心をそそることで快楽を得ているトニーにとってこれは痛手だった。
どれだけ蹴ったり殴ったりしても無反応なのだ。
「こうなりゃ奥の手だ」
トニーは携帯電話を持ち、翠星石を監禁している部屋に向かった。
「お、俺だ。トニーだよ。久しぶりだな。ちょっと頼みたいことがあってな」
誰と話しているのだろう。翠星石は少し気になった。
「おう、そういうわけでよろしく頼むぜデュ・ー・ド・さ・んよ!」
『デュード』
その名を聞いただけで翠星石はもういても立ってもいられなくなった。
「きゃああああ!ここを出せです!あいつとは会いたくないですぅ!」
「うっせえよ!ゴタゴタ騒ぐんじゃねえ!」
腹を思いっきり蹴り飛ばす。
「っぐえ!これが騒げねえでいられますか!あんなクズ野郎には会いたくないですぅ!」
「へえ、じゃあジュン君に会えなくてもいいのか?それに俺はあいつを呼ぶともお前をめちゃくちゃにさせるとも言ってないぜ?」
「じゅ、ジュンが生きてるですか?」
「さあな。そいつはデュードに聞いてみな。いずれにせよ今回の件が終われば会えるかもしれないぜ」
ニヤリと笑うトニー。相変わらずとんでもないことを考えていそうな顔である。
「ほ、本当ですか?うう、我慢するですぅ」
「へへ、いい子だ」
そう言ってトニーは翠星石の頬をぺろりと舐めた。
「う・・・」
「まあそれまで待ってな。今日はこれを食わせやるよ。ほら」
トニーは珍しく普通のカツレツと普通のスープを置いて部屋から出て行った。
「果たして耐えられるかな・・・翠星石・・・へへへへ」