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と、ドア越しに声が聞こえてきた。
「ジュン、紅茶を入れて頂戴」
「・・・今すぐ入れるよ」
ジュンは薄く微笑みながらドアを開けた。
それから夜になった。
目が覚めた翠星石は瀕死の状態で必死にリビングの明かりが見える庭まで這いずってきた。
優しい家庭の明かりだ。声が聞こえる。
『あれ?翠星石がいないのー』
『翠星石?誰かしら?』
『さあ?誰のことだ?変なこと言うなよ雛苺』
『うゆ?よく考えたら雛苺も知らないのー』
その中に翠星石のいる場所はなかった。
彼女はそこに蹲り、泣いた。