2015年に発覚した免震ゴム性能偽装事件を覚えているだろうか。大手タイヤメーカーが製造していた建造物用の免震ゴムが、国土交通省の定めた基準を満たしていなかった事件だ。
全国で154棟もの建物に、この性能偽装の免震ゴムが使用されていたので大騒ぎになった。その後、それらの建物では基準を満たした免震ゴムへの取り換え作業が進んでいたはずだった。
ところが先日、福岡市でこの偽装ゴムを使っていたとされるタワーマンション(タワマン)の解体が決まった、と報道された。06年に建てられた地上30階、全215戸の物件だ。
解体理由の詳細は分からないが、このタワマンは賃貸用で、現在のオーナーは1社のようだ。したがって、賃貸居住者には立ち退きを求める形になるらしい。住民の一部は困惑しているが、「建物が危険な状態だから解体する」ということなら、いずれ立ち退かざるを得なくなる。
私が注目するのは、解体する理由ではなく、その工法や費用だ。現在まで、タワマンと言われる20階建て以上の集合住宅が解体されたケースは皆無と理解している。つまり、この物件は日本で初めて解体されるタワマンとなる。
どのような工法が採られるのだろう。どちらにせよ解体費用で会社は傾く可能性大である。