え…マジで?? 「クルマの価格は1/5に」「EVは30万円になる」をガチで検証する
2021年2月15日 / ニュース
https://bestcarweb.jp/news/249255
https://news.yahoo.co.jp/articles/e385600e7666db2b44381b1e769dff62e8e2d7df/comments

 2021年1月25日、日本電産の永守重信氏が、自社の決算会見の席上で「EVの価格は最終
的に30万円になる」と発言しました。永守氏は以前、「クルマの価格は1/5になる」とも
発言して話題になっています。

 ズブの素人による発言なら「そんなバカな」と一蹴して終わりですが、発言主は世界一
の総合モーターメーカートップ。自動車メーカーへ数多くの部品を供給しており、経営陣
にはメーカー出身者も加わっています。

 だとしたら、あながち夢物語でも…ない…? それともなにか思惑が…?? この
「クルマの価格は(現在の)1/5になる」、「EVは30万円になる」という話、本当に可能
性はあるのか? それともまったく無理なのか? 自動車ジャーナリストの国沢光宏氏に
伺いました。

文/国沢光宏

■「EVはどんな企業でも作れる」…?

 世界一の総合モーターメーカーとして知られる『日本電産』の永守重信会長兼最高経
営責任者(CEO)は、講演会などで「将来的にクルマの価格は5分の1になる」と主張している。

 N-BOXのような150万円の軽自動車で30万円に、RAV4と同じ車格となる300万円のSUVだと60万円ということ。

 真っ当な金銭感覚を持ってる人なら瞬時に「無い!」とわかる。

 10年くらい前のこと。東京大学の村沢義久特任教授が「スモール・ハンドレッド
」(簡単な構造の電気自動車=EVはどんな企業でも作れる、という内容)というアピール
したこともベースになっているのだろう。

 興味深いことに「スモール・ハンドレッド論」を鵜呑みにしている人って多いようだ。
はたしてクルマの価格は5分の1になるのだろうか。

 少し真面目に検証してみたい。

■将来的に莫大なコストがかかるエンジンが不用に

 まずガソリンエンジンに代表される内燃機関からEVに切り替わった際、不要となる
アイテムを挙げておく。

 筆頭がエンジンでしょう。クルマの構成部品におけるエンジンのポジションたるや、
極めて大きい。自動車メーカーの開発部門における人員規模は最も多い。正確に言えば
生産設備への投資が莫大である。

 量販車の場合、年間50万基くらいの生産規模を10年以上続けないとペイしないと言われ
ているほど。EVになれば構造的に簡素なモーターへ置き換えられるため、コストダウン
効果は絶大かと。

 エンジンのほか、これまた巨額の投資を必要とするトランスミッションが不要になり、
同じ役割を電気的に行うインバーターに姿を変える。

 トランスミッションを独自開発したスバルのCVTやマツダの6速ATを見てもわかるとおり、
年産70万台規模の自動車メーカーが10年くらい作り続けないと利益上がらない。

 いっぽうインバーターは、たとえばプリウスで言えばすでに4世代目。どんどん
コストダウンされていく。エンジン+トランスミッションのコストとモーター+
インバーターのコスト、圧倒的に違う。

 続く