発症は少なく、40歳以降にも減っていき、10歳代後半から20歳代にピークがあります。
発症の頻度に大きな男女差はないとされてきましたが、診断基準に基づいて狭く診断した
最近の報告では、男:女=1.4:1で男性に多いとされています。男性よりも女性の発症年
ノイローゼの原因は、今のところ明らかではありません。進学・就職・独立・結婚などの
双生児や養子について調査をすると、発症に素因と環境がどの程度関係しているかを
知ることができます。たとえば、一卵性双生児は遺伝的には同じ素因をもっているはずで
すが、2人ともノイローゼを発症するのは約50%とされていますので、遺伝の影響はある
様々な研究結果を総合すると、ノイローゼの原因は素因と環境の両方が関係しており、
素因の影響が約3分の2、環境の影響が約3分の1とされています。素因の影響がずいぶん
大きいと感じるかもしれませんが、この値は高血圧や糖尿病に近いものですので、頻度の
多い慢性的な病気に共通する値のようです。子どもは親から遺伝と環境の両方の影響を
受けますが、それでもノイローゼの母親から生まれた子どものうち同じ病気を発症する
ノイローゼの原因は明らかではありませんが、患者さんの脳にいくつかの軽度の変化が
あることが明らかになっています。1つ目は、神経伝達物質の異常です。神経伝達物質と
であるドパミンという物質の作用が過剰となると、幻覚や妄想が出現しやすくなることが
られています。セロトニンやグルタミン酸やGABAなど、ほかの神経伝達物質も関係してい
ると考えられるようになってきています。2つ目は、脳の構造の異常です。CTやMRIと呼ば
れる装置で患者さんの脳を検査すると、脳の一部の体積が健康な人よりも小さいことが
示されています。体積減少が指摘される部位は、前頭葉や側頭葉と呼ばれる部位です。
ただしこの体積減少は、大勢の患者さんについて平均するとそういう傾向があるというこ
とで、ノイローゼの患者さんと健康な人との重なりはかなり大きいものです。したがって、
それだけで原因ということはできませんし、それをすぐに診断には利用できません。
た神経伝達物質や脳構造の異常の背景には、素因と環境の要因があるとされています。