敗戦から2年後のある日、船のデッキを掃除する一歩の所に藤井が現れる
一歩「藤井さんどうしたんですか?」
藤井「先日のマルチネスと千堂の試合は見たかい?」
一歩「ええ、千堂さんでも全く歯が立たないなんて…ショックでした。」
藤井「千堂君の試合を見て触発されたと思ってね。」
一歩に紙袋を渡す藤井
一歩「コレは?」
藤井「マルチネスの過去の試合のVTRさ。」
一歩「いや、でもボクは…。」
藤井「まさか本当にボクシングを止めるのかい?」
一歩「い、いえ…やはりボクシングは好きですからたまに練習生として…。」
藤井「そんなのは引退したのと一緒さ!プロボクサー・幕ノ内一歩が見られないならね!」
一歩「藤井さん…。」
藤井「そうさ!止めに来たのさ!今まで引退していった選手は沢山見て来た。
怪我に泣く者、タイトルに手が届かなかった者…だがやり切った奴はみんな清々しい顔をしていた。君はやり切ったと言えるのか?」
一歩「…済みません…。」
申し訳なく項垂れる一歩
藤井「い、いや。俺は君を困らせる為に来た訳じゃないんだ…取り敢えずコレは渡しておくよ。」
藤井は紙袋を渡して帰って行く
その晩VTRを見ている内に自然とマルチネス対策のシャドーを始めていたが我にかえる
一歩「ボクは何をやっているんだ!」
母「アンタまだ納得いってないんでしょう?」
振り向くと母親が立っている
一歩「…う、うん…」
母「やりなさい。千堂君の仇を取ってあげて。」
一歩は翌日からブランクを埋めるべく現役さながらのハードワークを行う
2ヶ月後…青木、木村、鷹村、板垣が引退して活気を失った鴨川ジムの前でポスターを剥がす鴨川
鴨川「タイトル戦で負けたくらいで引退とはのう…」
八木「彼はいい線いってたんですけどねえ。」
鴨川がふと横を向くと髭を生やした一歩の姿が
鴨川「こ、小僧…。」
一歩「オヤッサン…カムバックだ。」