「もうちょっと恋人らしくしてよ。表情がかたいよ。」

晃一が脇腹をつつく。
思わず小さな悲鳴をあげ、身をすくめてしまった。
「ちょっ・・・やめてください。」
「君が冷たいからさ。ずいぶん落ち着かないね。」
「・・・・・・緊張してるんです。」
「そんなにそわそわしなくていいのに。トイレに行きたいのかと思っちゃうよ。」
「ち、違いますっ!」
「ははっ、1週間ぶりだもんね。」
「そんなこと・・・っ」
「え、約束守ってくれてないの?」
「いえ、その、それはちゃんとしてますけど・・・」
「なら良かった。」
晃一は・・・彼は安堵したように微笑んだ。
1週間、大きい方の排泄はしないこと。
そして、夜行バスに乗っている間は、彼の言う通りにすること。
これが彼からの条件だった。
放っておけば5日は出ない私にとっては何ら難しいことではない。
いつも5日目に飲んでいる小さなピンク色の薬を飲まなければいいだけ。
そして、膨らむお腹の不快感に耐えるだけの話だ。
それだけで私は、報酬の5万円を受け取ることができる。
きっかけはスマートフォンのアプリだった。
最近羽振りのいい友人に唆されて、いわゆる出会い系というやつに私は手を出してしまった。
「ちょっとお茶飲むだけで1万円だよ?エッチに抵抗ないならその3倍はもらえるし。」
「そこまでお金に困ってないから・・・」
「でも香苗も海外旅行行きたいって言ってたじゃん?パパ活でもしないと私らの給料じゃ無理だよ〜。若さは武器っていうし!」
「そ、そうかな・・・?」
「そうだよ!エッチが嫌ならフェチを満たしてあげるやつもいいよ。こないだ私、ハイヒールでクッキー踏み潰しまくるっていうのやって2万もらったよ?」
「なに、それ・・・?!」