博士が、来日のとき、原宿のカレー屋DEVIで食事のさい、
「いまや、ロードレーサーでも6kg台なのに、どうして博士の自転車は重いのですか?」
とSZ氏にズバリと質問され、
「それはワシの自転車は自転車全体のなかで車輪の占める割合が小さい。
そして、フレームの割合が大きいのだが、ワシのフレームはその構造上、カーボンで作ったりアルミで作ったりすることができない。
だから今より軽くすることはできないんじゃ。」
と答えました。ここにも、すでに、小径車の構造的限界に対するほとんどすべての回答があります。

実はその時原宿で、「いや、まだ軽くする余地はありますよ、博士。シートを火の見ヤグラ構造にすればいいではありませんか。」
と進言して、図まで描いたのは私なのです。
「しかし、R&Fよ、そんなことをして、サドルの上下はどうするんじゃ?」
「わけはありません。フランスのジットーのトライポッド(三脚)のエレベーター部分のようにすればいいのです。」
博士は私のスケッチをポケットに入れ、彼は着ていた自転車柄の有名なセーターを私にくれたのです。
「それでは、また英国で会おう。ワシがまだ生きていたらな。ワッハハハ。」

それが世界でもまれな100数十万円の超高級車になろうとは予想だにしませんでした。
その後、彼から来たFAXが私の手許に残っています。
キミのアイデアをさっそくこちらの工科大学の生徒にも見せ、実験に取り掛かった、
トラス部分とピラー部分の比率をいくつにしたら、最も軽くなるかの研究じゃ。」