敵の本拠地、VSH Arenaで迎えたUTA戦
PGウェストブルックが大量TO、PG5も全く勢いを見せず惜敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「来年は82敗だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、昨年のMVPウェストブルックは独りベンチで泣いていた
かつてのOKCで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今のOKCで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「Why Not...?」ウェストブルックは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、ウェストブルックははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってプルアップをしなくちゃな」ウェストブルックは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、ウェストブルックはふと気付いた

「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出したウェストブルックが目にしたのは、最上席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにThunderstruckが響いていた
どういうことか分からずに呆然とするウェストブルックの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「ブラザー、シューティング練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返ったジョージは目を疑った
「デ・・・デュラント?」  「なんだラス、居眠りでもしてたのか?」
「フ・・・フィッシャーコーチ?」  「なんだラス、かってにフィッシャーを引退させやがって」
「イバカ・・・」  ウェストブルックは半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
PG:ウェストブルック SG:セフォロシャ SF:デュラント PF:イバカ C:パーキンス
暫時、唖然としていたウェストブルックだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
ハーデンからリストバンドを受け取り、コートへ全力疾走するウェストブルック、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっているゴリラが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った