アシックスの逆襲が始まる!

ナイキのシューズの唯一の欠点

 陸上長距離界を席巻したナイキの「ヴェイパーフライ ネクストパーセント」、これは勢力図を一変させた素晴らしいシューズですが、実は駅伝においてはひとつ欠点があります。それはマラソンのために作られたシューズということ。

 クッション性の良いソールと、反発性の高いカーボンプレートは、長い距離を、同じリズムで、一定のスピードで走るにはとても優れたシューズです。ところがマラソンと比べて距離の短い駅伝では競り合いやラストスパートなど、トラックレースのように小刻みに走るリズムを変えざるをえないときがある。このときヴェイパーフライのような厚底シューズは薄底に比べると切り返しが良くないのです。

 アシックスにはソーティという駅伝向きの名作薄底シューズがありました。中高生が走る短い駅伝にはそのシューズはとても適していたし、競技人口も多い。それゆえにアシックスは切り返しの良さを捨てることができず、長らく厚底に手を出すタイミングを失ってしまった。その結果が箱根でのゼロだったわけです。

「箱根アシックスゼロ」の衝撃は出遅れた厚底シーンへの商品投入を一気に加速させることになりました。アシックスが培った駅伝シューズの切り返しの良さを厚底に持ち込むことに成功した。それがメタスピードというシューズなのです。