総評 ★★★☆
茅原実里リスタートから2枚目のアルバム。前作Contactと同様、重厚なアニソンロックをメインにポップをちりばめたアルバム。
個人的に茅原実里はとてもレビューしにくいアーティストだと思う。
というのも、曲もアレンジもどこか似通っていて、★3つを付けたくなる曲が多い
実際レビューしていて、「さっきも同じこと書いたな」と何度も思った。
14曲を作曲5人、編曲4人で作っているわけだが、1人で作っていると言っても違和感がないぐらいだ。
微妙な差異こそあれ、曲調がかぶるというのはよろしくないし、おもしろみもない。
これはContactの時にも言えたことで、いわゆる進化というのは見られない。
そういう意味で、次のステージに行くためにはもう少し凝ったもの、実験的なものも要求されると思う。
それが曲のクオリティを上げるし、歌手茅原実里の評価を上げることにもなると思う。
ライブ映像を見ると分かるが、相当に歌は上手い。声量もあるし声の伸びもある。
たまに言われる「表現力がない」というのは曲調の幅の狭さが起因していると思うのである。
このアルバムの中でも機微は表現できていたと思うが、いかんせん表現力をモロに要求する曲と出会っていない。
割と辛口になってしまったが、この路線で一定クオリティのアルバムを2枚出して、さあ次はどうしようという岐路に立っていることは事実だと思う。
ファンが飽きない内に、室内楽調やらビッグバンド、アコースティックなど色々試して欲しいものである。

余談だが菊田大介。このアルバムでは2,7,10,12で作編曲を行っているが、26歳でここまで自分のスタイルを確立しているのはすごい。
単調な4つ打ちだけは受け入れられないが、ストリングスの使い方、インスト部の想像力など極まっている。
作曲に関しては、王道とも言える進行に容赦なく高音をぶつけるスタイルで、特にサビはそれが顕著。アニソン流メロディメーカーと言える人材だと思う。
同じエレガの上松よりもシンプルかつ大胆であり、茅原実里のように声量のある歌手でないと破綻しかねないが、
それゆえ菊田曲のライブでの歌唱にはCDにはない魅力がある。
ファン内でも脱菊田が囁かれるが、これまで高水準の曲を生産してきたセンスは素晴らしいものがある。
茅原実里とは良いコンビだと思う今後も工夫を挟みながら続いて欲しい。