とても良かったです。
新海誠作品の中で一番良かった、作品として物語の構成もメッセージもとても良かった。本当に本当によかった。

日本各地にある「みみず」という禍の出入り口である扉を閉じる役割を担う青年・草太と、その青年に出会った事でその世界を知っていく少女・鈴芽の物語。
扉のそばにある楔を抜いてしまってさぁ大変!というところから物語は始まります。

なるほど、ボーイミーツガール(今回はガールミーツボーイかも)からのSF!いつものやつね!って思ってたら、この「みみず」が引き起こす災害に草太とともに身を投じる鈴芽の行動に、「お年頃」以上の違和感があるわけなんですね。
別に鈴芽は″特別な女の子″な訳ではない。
それなのにみみずから世界を守るために無茶をする鈴芽を草太が案じても「死ぬのなんて怖くないよ!」って鈴芽は言うんです。
勢いで出てしまった言葉にしては、かなり重い言葉なんです。お年頃だから出てくる言葉じゃない。いくら草太や日常を思って出た言葉だからとしても、とても違和感を覚えた。

でも、最後に鈴芽が向き合う、自分自身の過去に辿り着いた時、ああそういうことか、あの日のこの子は「死」を知ってたんだな…ってわかった。
それが、2011年の東日本大地震なんですね。
あの日って、元々特別な1日なんかではなくて、普通にやってくる明日であり、普段通り過ごしていた今日だった。
でもあの14:46の出来事で、非日常に変貌してしまった。
誰かの意思とかではなく、突然の災害によって。