●高橋秀樹(放送作家/日本放送作家協会・常務理事)

『君の名は。』は多くの若い人にきっと単純なラブストーリーとして見られているのであろう。
だが筆者のようなひねくれた大人は単純なラブストーリーとしてみることは出来ない。
なぜなら、ストーリーを展開するための”とってつけたような設定”が目につきすぎるのである。
ヒロインの女子高生・宮水三葉は女系で継いできた神社の長女であるが、その伏線が唐突に出てくる。
三葉の父親がいま町長選挙に出ているという設定はなぜ必要なのか。
相手役の男子高校生・立花瀧のバイト先の先輩奥寺ミキの存在はなぜ必要なのか。
立花は入れ替わったときに記憶した風景のスケッチだけを頼りに三葉の住む糸守町を探しに行くが、探しても探しても見つからないのにラーメン屋で唐突に見つかるのは都合良すぎないか?」

(「メディアゴン」より)