おそらくだけど、海外と日本とではアニメに対する考え方にまだまだ乖離があるんだと思う。
海外では「アニメは子供のもの」という先入観はまだ強い。もしくは「子供から大人まで楽しめるもの」という位置付けだろう。
「大人だけが楽しめるアニメ」というものももちろん認められてはいるが、それはアート系作品なんだ。
今回のアニー賞のインディペンデント部門の候補になった他の作品を見てもアート性が強い。

宮崎駿の千尋が海外で異常に評価が高いのは作家性とアート性が強いからだと思う。
しかし、千尋は当時日本国内では批評家からは大絶賛されたが、一般人の評価は分かれた。
興行的にはいまだに日本歴代1位の大ヒットだけど、それだけ多くの人が見たことで一般人の評価を大きく二分する結果に拍車をかけることになった。
みんなどこかでラピュタ、ナウシカ、トトロ、紅の豚、もののけ姫のような娯楽性のある映画を駿に期待していたからだろう。
そう思っていたところに宮崎駿の「作家力」が存分に引き出されたような映画を見せられて面食らって戸惑った。
その後のポニョやハウルや風立ぬなんかも駿の作家性の強い映画でやはり国内での評価は分かれたな。
ポニョなんか子供向けと言いながら「これのどこが子供向けなんだ?」というくらいの観念的な内容だったなあ。
でもこれらはいずれも海外では評価が高い。

逆に娯楽要素の強いラピュタやナウシカは日本で大人気だが、海外ではそこまで高評価でもない。低評価というわけでもないけど。
ナウシカなんかは大人向けで娯楽要素の強い映画だ。少なくとも小さな子供向けじゃあない。
海外ではそういう映画をまだ素直に受け入れられないところがあるのかもしれない。


ただしアカデミー賞はアニメ部門だけじゃなくて作品賞であっても娯楽作が選ばれることも多い。
と言っても「単なる娯楽映画」は選ばれにくい。娯楽性がありながらも映画としてのクオリティも高いものが選ばれる。
良い例なのはタイタニック。当時歴代最高の興行収入とアカデミー賞最多タイの11部門受賞している。
批評家からも、一般人からも圧倒的な支持を得た。まさに娯楽性も映画クオリティも高い作品だった。