例えば、「10秒間で、被写体がフレームの端から端まで歩くロングのカット」というシーンがあるとしたら
アニメのコンテでは

1.最低限把握出来る構図
2.カットの秒数の指定
3.それを実現させるための作画プラン(何コマで何枚など)

があればいいわけ(全てのカットで3まで具体的に書いてあることはほとんどないが)
そもそも絵コンテってのは「監督の完成画面のイメージの伝達道具」なわけだから
「んでこの”10秒歩いて横切る”ってのはどういう風に原画描けばいいんですか?」と聞かれたら答えるのが筋
1コマなら一秒間につき24枚、2コマなら12枚、3コマなら8枚必要なわけで
10秒間ならその十倍。1コマなら240枚、2コマなら120枚、3コマなら80枚使って「10秒間歩く」わけだ
同じ「歩く動作」でも、80枚で表現された歩きと、240枚のそれじゃ全然印象違うでしょ?
その「印象」を演出として使うのがコンテ、監督の仕事
つまりコンテを描く以上、カット内で何枚使って芝居させるのかってことが大雑把でも指定できなきゃならない
駿はコンテの段階で「ここは○○にやらせよう」とかって計算までしてる
描く原画マンの力量を踏まえたうえでコンテ描いてるらしいから

ところが新海は、上の条件の2までしか想定してなくて3については丸投げ
それで「10秒間の止め画」をビデオに出力したところで作画作業には何も貢献しない
こんなやり方してたら下手したら「端から端まで行かなきゃならないのに、歩いてる途中で10秒経過してカットが切り替わる」なんて現象も起こりうる
だから新海の君の名は以前の映画ってキャラの動きとかカットの秒数が変なところが多かったわけ

大体、実際画面で見る尺を確認するために部分的にビデオ化するのはどこもやってる
ジブリのコクリコ坂の制作ドキュメントでも見られるぞ
あれの場合、序盤の進行がトロすぎて話にならなかったから鈴木がコンテを倍速でビデオにして見たら
ちょうどよくなったからそれでいこう、とかって突貫工事に繋がったけど