着物のシーンで「お母ちゃんの形見や!」と一言言えれば、清太の対応も変わったと思うんです。
 ある程度米に変えるにしろ、「節子に一着残してあげたい」とは言えたんじゃないか?それならおばちゃんも無理強いはしづらかっただろうし、2人が壕生活を始めた直接の動機となる、節子の夜泣きも無かったか弱まったんじゃないか。

 あのシーンだと思うのです。生前の2人が破滅せず、死後の2人が成仏できる可能性の分岐点だと。

 節子が思ったことをちゃんと言えれば、清太は着物を残したんじゃないか。清太が節子の気持ちを察していれば、着物を残して節子は夜泣きしなかったんじゃないか。
 あと、清太がおばちゃんの意見を珍しく聞いたシーンでもある。清太がおばちゃんの事情をもう少し理解すれば、違う行動を取ったんじゃないか。おばちゃんが2人の心情にもう少し理解を示せば、2人は破滅しなかったんじゃないか。

 そのシーン、清太の亡霊は目を閉じて耳を塞いでいる。だから成仏できないってのが映画の意図だとおもってますw