映画.comから

評価 0.5
入れ替わりエピソードとしては落第

過去に見た様々な入れ替わりエピソードから、入れ替わり十か条というのを作ってみた。

(1)入れ替わる者の人となりを入れ替わり前に紹介しておくこと
これが無いと、入れ替わったギャップが分かりにくい。
(2)入れ替わる者同士が知り合いか、入れ替わり前に会っておくこと
入れ替わる前の相手を認識してないと、当人が入れ替わり現象であること自体理解出来ない。
(3)入れ替わる者同士の性格が正反対だったり、相違点が多いこと
それでこそ入れ替わりの面白さが最大限に発揮される。
どちらかが宇宙人や妖精等、人間で無ければなお良し。
(4)入れ替わりのギャップによるギャグをふんだんに入れること
これこそが入れ替わりエピソードの肝。
(5)入れ替わることで互いの立場や境遇や生活を知り理解すること
多くのキッズアニメや特撮ドラマで入れ替わりエピソードがあるのは、この教育的効果の為。
これによっていい話にまとまる。
(6)入れ替わった先で、普段とは違う活躍をすること
これもまた入れ替わりエピソードの醍醐味。
(7)入れ替わりの原因が明確であること
ただでさえ非現実的な現象なんだから、原因をはっきりさせる必要がある。
そういう機能のメカや魔法のアイテムとか、それ自体はその程度で構わないから。
(8)基本設定以外で、入れ替わり以外の非日常現象を絡めないこと
入れ替わりだけで十分絵空事。
それ以外の非日常現象絡めると、一気に話が嘘くさくなる。
(9)入れ替わった者たちが事態を解決しようと努めること
当人たちにしてみれば人生最大級の非常事態。
元に戻ろうと必死になるのは当たり前。
(10)入れ替わった当人以外に入れ替わりの事実を知る協力者を配置すること
入れ替わった二人だけの秘密にするより、周囲に入れ替わりを知ってる人がいる方が、ドタバタ感が増す。

全ての入れ替わりエピソードに全てが該当するわけではないが、面白い入れ替わりエピソードは大抵この大半をクリアしている。
さて前置きが長くなったが、果たして「君の名は。」どうだろう?
この中でクリアしてるのは、かろうじて(3)(5)(6)ぐらいだろか。
(1)冒頭いきなり入れ替わりでアウト。
(2)全然知らない者同士だからアウト。
(4)一応あるけど事後報告やダイジェストで済ませてるからアウト。
(7)よく分からない神様のせいにしてるからアウト。
(8)人格入れ替わりが時空超えまでしてるからアウト。
(9)毎日のように元に戻る緊迫感の無さの上に、入れ替わった当人たちが入れ替わりライフ楽しんじゃってるからアウト。
(10)二人っきりの秘密にしちゃったからアウト。
みつは父は一応見抜いたようだが、それも明確じゃないし。
せめて飛騨に同行してくれた先輩と友人、それに町民避難に協力してくれた二人にぐらい、真実話せばよかったのに。
あとかろうじてセーフの3点にしても、(3)は都会の男子と田舎の女子という程度で、ビジュアル的にはあまり大差無いのがマイナス。
せめて身長差が30センチぐらいあればよかったのに。
(5)は一応スマホやノートで交換日記的なやり取りしてるからセーフ。
ただ、あれだけ何回もスマホ見てるのに、年月日の違いに気付かないのは謎。
(6)は一応中身瀧の三葉がバスケで頑張ったり、陰口の連中ビビらせたりしてたからセーフ。
中身三葉の瀧も、先輩のスカート縫ったり、デートのお膳立てしてたし。
ただ、あの刺しゅうは不要。
それにああいう刺しゅうは針と糸だけでは出来ない。
当て布も必要なのだが、中身三葉の瀧はソーイングセットの他に、当て布も持ち歩いていたのだろうか?

まあそんな次第で、入れ替わりエピソードとしてはこの作品、ほとんど見どころありません