https://mainichi.jp/articles/20161216/k00/00e/040/170000c

視聴率は人気のバロメーターであるとともにCM広告料を換算するための単価ともなっている。実際、CM広告料は視聴率1%に対し
いくらという値付けだ。もし総合視聴率が単価となると、タイムシフト視聴率分が上乗せされるということになる。

 しかし、録画再生時、視聴者の多くはCMを早送りにして見ているとみられ、レコーダーによってはCMを録画しない「CMカット」
や、再生時に自動でCMを早送りする「CMスキップ」という機能を持つ機種も出ているほどだ。タイムシフト視聴率のうちどれ
くらいの割合が実際にCMを見ているかを示す正確なデータは今のところ出ていない。

 そうした実情もあり、ある広告会社関係者は「リアルタイムでもどれだけCMが見られているかわからないのに、タイムシフト視聴
という訳の分からないものを合算されて請求されるのはどうなのだろう」とスポンサーの思いを代弁する。関係者によると、総合視聴率
の公表により、CMが本当に見られているのかと不信感を持つ広告会社・スポンサー企業とテレビ局との間の溝はさらに広がっている
という。

 だが、ある関係者は「テレビ局側が本当に広告料の上乗せを目指しているとは思えない」ともいう。現在、テレビ局は放送事業者で
あるとともに番組制作やコンテンツプロバイダーとしての機能を強化させており、海外などへの番組販売やブルーレイなどのソフト
販売を新たな収入源として期待している。その際、視聴率は大きな売り文句となり、売り上げに有利になる。録画視聴を含む総合
視聴率の出現は「テレビ局が今後、生き残るための活路なのかもしれない」ともいう。