巫女の能力として、入れ替わりの夢よりも単なる予知夢のほうが、まず基本的な能力と言えるだろう。
宮水の巫女は、お告げの精度を高めるために単なる予知夢だけでなく、未来人と入れ替わり情報収集する能力を得たと考えられる。

浴衣姿で彗星を見上げる三葉の映像…それは三葉が最後に見た「予知夢」だった。
髪を切って眠りについた彼女は、浴衣姿の自分の上に彗星が落ちる夢を見たのだ。
これが本来は入れ替わりを要さない単なる予知夢であったことは、宮水宅の応接セットが無くなっていることで表されている。
客つまり瀧が来る予定はなかった。最後の入れ替わりは宮水の血がコントロールしえなかった出来事なのだ。

口噛み酒に封じられた「死せる三葉の魂」が瀧の体に入り、追い出された瀧の中身が10月4日の三葉の体に入り、それでは追い出された三葉の中身はどこに行ったのか?
そんな疑問を持つ観客もいただろう。
しかし、入れ替わりは夢を見ている者同士で起きる。
瀧は口噛み酒の力で夢を見て、予知夢を見ている三葉と入れ替わったと考えれば、話は単純である。
「死せる三葉の魂」など最初から存在しなかったのだ。