つうか梶尾真治が出るとこ出たら勝てるんじゃ無いのかね
ダブルトーンあらすじも追加しておく
主婦として夫と娘と暮らし、税理士事務所でパート勤めをしている田村裕美には、不思議な感覚の記憶があった。
その中で自分は主婦ではなく、独身でバリバリ仕事をして働いている。入れ替わりは目覚めるタイミングで、前日までの自分の記憶はちゃんと持ったまま、どこも時系列を通して欠落したところはない。
その記憶は実にはかなげで頼りなく不確実なもの、しかし、同時にとても大切なもの―。

同様の感覚を独身OLとして小さな企画事務所に勤めている中野由巳もまた感じていた。
自分の中に、自分ではない人物として夫や子供と暮らしている記憶があるのだ。最初はくもりガラスの向こうに動く影のようなものだったのに、徐々に輪郭がはっきりしてくるような…。この不思議な感覚は一体何なのだろう?

朝起きてすぐは記憶している事柄も、しばらくすれば雲散霧消してしまうためそれほど気にも留めていなかったが、
いつしかその記憶は鮮明に残るようになり、現実と不思議な記憶の間に共通する人物が登場するようになった。
そして田村裕美は中野由巳としての記憶の中で、自分と結婚しているはずの田村洋平を有沼郁子から紹介されて愕然とする。
「そうよ、田村くんには奥さんがいたわ。でも、不幸なことに亡くされたのよ。だから、田村くんは今、娘さんと二人暮らしなの」―。
聞けば娘の亜美は保育園の年長組で、裕美と由巳の間には2年の時のズレがあることがわかった。中野由巳は実在するのか、それならば田村裕美はどうなってしまうのか?


真相を知るため、2人は朝起きたらすぐに前日の自分に何があったか記録するようにして情報交換を始める。