743 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2017/08/17(木) 00:12:20.63 ID:pZyqIbGA
https://mainichi.jp/articles/20161020/k00/00m/040/119000c

−−「君の名は。」に物語については、何を削ったかの方が興味深くあります。
加納新太さんの本(「君の名は。Another Side:Earthbound」=本編のサイドストーリーを描いた小説)では、三葉の父親の章が興味深かったです。
新海さんは、こんな話を描きたかったのではと思っていたら、元々脚本に入っていた話ではないとありました。

 新海 映画が終わってから忙しく、実は加納さんの本は、読めていないのです。自分の作品の本を読む余裕がない(笑い)。
「星を追う子ども」で妻を亡くした夫の話を描いていて、今回の父もそうなのですが、そこを描こうとは思っていなかった。
もちろん、映画をつくる上でぼんやりと背景のイメージはありましたが。それを加納さんは膨らませ、肉付けしてくれたのだと思います。
妻を亡くした特殊能力を持たない男は、三葉たちより僕たちの現実により近い。モチーフへの興味はありますが、観客が何を見たいのかを同時に考えるわけです。
いろいろな意見がありました。父をもっと掘り下げた方がいいとか、三葉と瀧が恋に落ちる瞬間もっとを描くべきだ……などと。
しかし、捨てていきました。つじつまを合わせるのが映画の目的ではありません。限られた107分間で、面白かったと映画館を出てもらう必要があります。
捨てた部分に大事なものがあったかもという指摘はあり、次回のタネがそこに眠っているかも知れませんが、今回は捨てるべくして捨てたと思います。

−−例えば映画ではクライマックス、三葉の父がなぜ訴えを聞き入れたかの理由などが劇中、説明されていません。

 新海 あの場面も、説得を描いても面白さに寄与しないと思います。果たして三葉が助かるか、助からないかという観客の関心をそいでしまう。
この映画は、三葉と瀧の気持ちを描きました。映画の時間軸は寄り添い、手を離さないよう作らねばと思いました。
制作中迷ったのは瀧は三葉だけでなく、街の人々全体を助ける話だから、どこかで街を救うモードにならなくてはという点でした。
そうしないと倫理的、道徳的に成り立たないと思った時期もありました。しかし、そうではないとギアを戻しました。
結果的に皆救えたし、瀧は三葉以外の人のことを考えていないわけではない。しかし10代の恋心、相手を知りたくて必死に手を伸ばす。
ようやくたどり着いたのに相手が消えてしまい、もっと強い気持ちで……というものと違う動機を映画に入れるのはよくない。
映画の一要素として社会を描くのは必要ですが、高校生が急にスーパーマンになって「社会派」になってしまったらおかしいので「お父さん」が必要なわけです。
映画の中で何を大事に扱うか。「君の名は。」は、瀧と三葉、2人の気持ちから手を離さないようにしようと作りました。
もちろん、いろいろな人がいろいろな見方をしますから、これだけ公開から週がたちますと、「ここが足りない」など、いろいろな意見が聞こえてきますが。