片隅のレビュー見てて好意的な人はみんな作者に騙されてるってわかるんだが

――特に気を使ったところ、創作するうえで難しかったところはありますか?

こうの 戦時中の思想です。今の世のなかでは通用しないもの、ある程度否定すべき要素が入っていますよね。
そういう要素をなるべく入れないように作るのが難しかったです。たとえばこの「愛国いろはかるた」[注6]は本物
なんですよ。使うと決めたはいいけど、全部見たことがなかったんです。他国をあからさまに軽蔑するような表現
などがあったら使うまい、と思っていたのですが幸いそういったものが少なかったので全文を引用することができ
ました。竹やり訓練のシーンでも、実際にはチャーチル[注7]の似顔絵とかを的にくっつけてやっていたんですが
、そういうのを描くとこの戦争特有の要素が入る気がしたので、あえて描きませんでした。

――普遍的な感情を持ってほしいと。

こうの はい。読者の方がもっと普遍的になるべく感情移入できるように、特定の国や人物を描かないようにしました。