>>345の続き

フィルムがぜんぜん仕上がらず、ヒロイン役のエリザベス・テイラーは、恋愛で色々いじけちゃって、トレーラーハウスから出てこず。
もうすっかり金がなくなってしまった。

制作会社のMGMは、本社の前に芝生があるんです。
芝生の中にスプリンクラーがあって、水まくんですよ。

ハリウッドって雨が降らないから、スプリンクラーで水撒まかないと芝生が枯れるんです。
でもその水を撒く金すらなくなって、MGMの芝生が全部枯れたという伝説があるんです。

ほんとに金遣いの荒い映画だったんですけど。

なんでハリウッドがそうなっちゃったのかというと。
それぞれの映画会社が、ものすごい豪華な作品を作って、どんどん大作主義になっていってしまった。

ちょうど10年くらい前のゲーム市場みたいに。
みんなFFみたいな大作ばっかやりすぎて、ゲーム会社が体力なくなってしまった。

あれと似たような状況になってしまった。

ジブリもですね、そこに入っちゃったんですよね。
『魔女の宅急便』と『紅の豚』で、ちゃんとヒットしたものですから。

『もののけ姫』でそれまで4億円9億円だった予算を、一気に21億円に上げた。
そうすると興行収入193億円。未だに歴代2位がなんかの数字ですよね。


もうグレイトです。その次の『千と千尋の神隠し』で制作費20億円のままで、興行304億円。アメイジング!です。

『ハウル』がちょっと上がっちゃった。制作24億円で興行196億円。
グレイト、ということで、すごくよかったんです。

ここでですね、宮崎さんが『ハウル』をやったあとで、俺はもう引退だ、と。

たしかこの時は2回目の引退宣言だったと思うんですけど。
この時僕も大好きな宮崎吾朗くんが出てきます。

『ゲド戦記』 制作費22億に対し興行収入『77億』

77億ってすごくがんばったんですよ。
新人のアニメ監督ならまちがいなく合格なんですけど、ここがジブリなんですよね。
ジブリって金がかかっちゃうんです。

押井守さんがですね、鈴木さんに、ジブリどうするの?
あんたこれからジブリのアニメーター、リストラするんだろ?
リストラしても俺のI.Gはジブリのアニメーターなんか引き取らないよ。

お前のとこのアニメーターなんて、金ばっかりとって、ちっとも働かないじゃないか、と。