■安藤がジブリを辞めた理由

『もののけ』の時に駿の隣の席を与えられ、話の展開や
作画の方向性について宮崎のパートナーとしての地位を
与えられていた安藤は、『千と千尋』で再び作画監督の
役を強く要請されるに当たり、

・今までになかったリアルな人物の表現
・作画の方向性を自分に任せてもらう

という条件で引き受けたそうです。
『千と千尋』冒頭のグデッとした可愛げのない千尋の描写などは
安藤が「新しいジブリ絵を作る」という意気に燃えていた現れです。
(ちなみに『君の名は。』の三葉ポーズ集にそっくりな絵があります)

しかしやはり東映漫画映画の記号的表現に回帰しようとする宮崎と
意見がぶつかり、安藤がOKを出した絵に宮崎が修正を出し、宮崎の
指示した修正原画を再び安藤がつき返すと言ったことが頻発して
あの緊張感のある作画が出来ていたのですが、作品が完成すると
二人は「もう一緒にはできない」と思わざるを得なかったようです。