>>409~>>413

カムパネルラの水死事件の翌日。彼の家に、葬儀の為に集まったジョバンニ達。
だが、ザネリもいた。ジョバンニは酷薄で冷厳な視線をザネリに向けて、
寒気がするように冷ややかな口調で言う。
「ザネリ……よくものうのうと、この場に顔が出せたな……」

青褪めた顔をしつつも、ザネリは薄ら笑いを浮かべる。
「ジョバンニ。カムパネルラは本当にいい奴だったよな……。おまえはあの場にいなかったから、
どうしていたかは分からんし、見ていなかっただろうが、あいつはオレを助けてくれた……」

ジョバンニの声は、冥府から聞こえて来たかのように、低く、抑揚がなく、冷厳になっていた。
「……きさまのせいで、死ぬ必要が一切なかった、かけがえのない親友が死んでしまった……」(ジョバンニ)
「……本当の事を教えてやろう。おまえはかけがえのない親友というが、カムパネルラのようなインテリは、
オレにとって目障りだった。マスコミはオレが助かった事を挙げるだろうが、カムパネルラについては、
よもや水難事故に見せかけて故殺されたとは書かんだろう。おまえがどう思うかは知ったこっちゃないが、
遅かれ早かれ、あいつは死ぬ運命に遭ったのさ……」

「…………!!」
ジョバンニの心の中で、何かが大きな音を立てて斬れて、千切れて、何処かに飛んで行ってしまった。
“ボカッ!!!!!!!!!!”(ジョバンニ、全身全霊の凄まじい一撃を、ザネリの顔面に激しくぶっつける)
“ドサッ!!”(ザネリ、顔面が陥没して、床に大きな音を立てて激しく斃れる)
ぶん殴った瞬間の態勢のまま動かずに、ザネリを見下ろすジョバンニ。
強烈過ぎる一撃に意識を失ってしまったザネリ。
ジョバンニには同情的な視線を向けて、ザネリには冷厳な視線を向ける、マルソら弔問客達…………。