「スパイダーマン スパイダーバース」を観る。116分(本編は102分)。実写でなくアニメ。
内容は、当代のスパイダーマンが序盤で消え失せ、未熟な次期スパイダーマンが困ってるところに
他の5つの次元からそれぞれのスパイダーマンがやってきて……みたいなの。
作画は3DCGで、冒頭15分の凡庸さには頭を抱えたが、それ以降のアクションは相当なものだ。
またジャパニメーションの超萌える豚向けキャラや奇形犬みたいなのも、アメコミとの絵柄の違いを
調和させないまま無謀にもぶちこんである。そういう無茶苦茶モードには好感が持てる。
当シリーズは完全初見でキャラも全員知らなかったが、最後までとても楽しく鑑賞できた。
ガルパン劇場版みたいな珍味だな。音響監督だかは岩浪美和氏だし。なお吹替も高レベルだが字幕を勧める。
高橋季依は無能ではないが、海外産の貴重な最萌えキャラは英語声優のほうが新鮮に味わえる。


「劇場版キノの旅」を観る。2本で合計45分。原作その他は未読。渡部高志監督。
キャラデザや背景は相当にアレだが、ストーリーはそう悪くもなかったし、
一回くらい見といてよかった。バイクに乗った美少女は好みだし。


「うる星やつら オンリー・ユー ノーカット版」を観る。101分。初見。文芸担当伊藤和典、
脚本金春智子、脚色・絵コンテ・監督押井守、演出安濃高志、美術監督新井寅雄。
面白さも見応えも、部分部分ではちゃんとある。だが押井氏の若書きなんだろうな。
実写映画を観て培った感受性をアニメ制作で効果的に生かすって意味では、
この監督のいくつかのアニメ作品は相当なレベルだし、本作も例外ではない。
縦・横・斜め・上下・奥行きなどさまざまな動きを扱う手際の見事さとか。
でもこの脚本は、出来のよしあし以前にとっちらかりすぎてる。
脚色って肩書きがかなり不穏だし、そもそもハーレム願望の男主人公の脚本を、
(原作者以外の)女に任せるべきではない。つまり物語の幹がきちんと出来てない。
次作のビューティフル・ドリーマーは、主人公とラスボスがヒロインに惚れ込んでいて、
そしてラスボスがヒロインに肩入れして騒動が巻き起こるという、ロマンチックな幹がきちんとある。
で、ヒロインの願望とラスボスの能力が呼応した結果が、ああいう前衛世界を作り上げたって仕掛けに
なってるから、枝葉で前衛的な演出を存分に繰り広げても、幹の太さできちんと作品を支えていけている。
でも本作のオンリーユーは、そういう緻密な構造が出来上がってない。
まあ制作期間が極端に短かったって舞台裏は聞き知っているから、同情の余地はあるけど。
あと異星の美術とかは相当良かったと思うよ。
それと、いつもは半裸のビキニ姿のヒロインに、本作も次作もたいして理由もつけず
上着を着せかけてやりもするこの監督の含羞は、なんだかんだでパヤオの友達だけあるなーと微笑ましくもなる。


「ダーティペアの大勝負 ノーランディアの謎」を観る。57分。1986年。原作高千穂遥、
脚本伊藤和典、監督・絵コンテ・演出奥脇雅晴。テンポがかなり良いが、やや詰め込みすぎでもある。
だがなかなか好みだ。アクションの作画は少々弱いが、不快なほどではない。
原作小説は大昔に数巻だけ既読だが、良くも悪くも原作のテイストを受け継いでいる。
某小説道場のへんへーが指摘した、幼児性の問題とかな。まあ楽しけりゃいいともいえるが。
また悪役が薄っぺらなニーチェリアンなのはなかなか新鮮で、かつ道理にかなっている。
超人思想ほど誤解されやすい考え方もそうはないし。伊藤氏の練達ぶりが窺える。
まあ「優れた脚本」それ自体が内包しかねない欠点も多少見受けられたし、
のちのパトレイバー1・2で伊藤氏はそこを払拭したかったのかなあともうっすら思う。
この作品の最大の穴は、主人公たちとゲストヒロインとの関わりが薄かったために
終わり方があっさりしすぎてる点なのだろうが、パト1ではヒロインの影の薄さにも関わらず
きっちり満足いく終わり方な娯楽になっている点、とか。


「ダーティーペア 謀略の005便」を観る。59分。
原作高千穂遥、演出高松信司、脚本五武冬史、監督滝沢敏文。まあそれなり。
1時間を飽きさせずに観終えられはしたが、色々と手練手管に頼りすぎてる。
あとルーシファって、原作ではもう少しスケールが大きい組織だった気がするが。