一方、振り込め詐欺などで稼ぐ若い組員の中には、
むしろベンツに乗る者も増えているという。
しかし、それは昔のヤクザが好んだ「Sクラス」のような4ドアの超高級セダンではない。

若い組員が乗りたがるのは、
ホストに人気があり、
かつてはヤクザが乗るクルマではなかった2シータースポーツの「SLクラス」や、
女性に人気の高いSUV「Gクラス」などの、おしゃれな中古ベンツだ。

「ベンツはもちろん、センチュリーに乗るヤクザも、今後はどんどん少なくなっていくでしょう。
今センチュリーに乗っているヤクザは、
昔の親分専用車を買い替えずに使っている組だけで、
これから新しくセンチュリーを購入する組は、まずありません。
正直、警察や世間の目が厳しくなく、お金さえあれば、
昔のようにベンツを買いたいというのがヤクザの本音だと思いますよ」(同)

上野氏の話から見えてきた、現代ヤクザのクルマ事情。
裏を返せば、彼らも生き残るためには、背に腹は代えられないということだろう。
(文=青柳直弥/清談社)