植田作品では、レストランで出されるステーキに、硬いものが多い。

『おとぼけ課長』では、課長が店のテーブルを揺すって、この店は駄目だ、
と家族に否決する。「硬い肉を出す店は、すぐにテーブルにガタが来るんだ」。
別の店では、課長が「レア」(生焼き)と注文。斬り損ねて床に落ちると、
「これで、ウェルダン(良く焼く)ですね?」とウェイター。

『かりあげクン』では、なかなかステーキが斬れなくて、苛立つ課長を見て、
かりあげが課長のグラスをナイフの先に置いた。苛立つ課長が、
ナイフを前後に動かすと、ナイフがグラスに当たり、その音にウェイターが憮然とする。
別の店では、「安い肉を使いやがって」と愚痴る課長に、
「肉は良いですよ。ただ、ナイフが安物の鈍らなんです」とかりあげ。
酷いときは、かりあげがガラス切りで肉を斬るのを見て、店の者は激怒。
「ぶっ飛ばしてやろうか、あの野郎」
上客は特上松阪牛で「厚い肉だね」。一方、かりあげはサービスステーキ。
「厚い鉄板だね」と言うかりあげにコックは「エエ」と塩対応。

『フリテンくん』では、ステーキを糸鋸で皿ごと斬って、ウェイターが激怒。

例外は『まさし君』。肉が斬れなくて、試しに噛んでみると、なんと牛革。
「革なんか食わせて何がビフテキだ!?」と怒る客だが、メニューを見直すと、
「ヒフ(皮膚)テキ」。これは詐欺行為か。