「1さんごめんなさい。この企画はね指導者さんの昇格にも関わるの。だから頑張ってもらえないかな」所属長の有無を言わさない返答だった。
自分が吐いて過呼吸になりながら懇願した事はおおよそ1時間程で、指導者の昇給のために却下された。
いの一番にスマートフォンをぶん投げた。そこにはエアコンのある変な空間の壁に当たった。
咄嗟に近くにあったほぼ空の塩瓶も同じように投げた。しっかりした作りなのになぜがガリンと言う押し潰された様な音と共に床に落ちて割れた。
それを無視してその先のリビングでお茶を飲んだ。遠くで手拍子が聞こえる。とうとう幻聴も聞こえるようになってきたのか。そう思った瞬間大声で叫んでいた。
「パンパンパンパン、ウルセェんだよ!!黙ってろ!!そんなに嫌ならなぁこんなもん捨ててやるよ!!」
そう言ってその勢いでゴミ袋を出してそのまま割れた瓶を思い切り捨てた。あの時は割れた瓶で良く手を切らなかったなと思う。思い切り鷲掴んでも怒りのせいなのか全然痛くなかった。

そのまま無心で周りのものを捨てていった。あんなに好きだった飾り棚にあったもの全て、服、キッチンにあるもの捨てていくとスッキリし、快感を感じていた。そこから断捨離好きになった。
ほぼ最低限のもの以外何にも無くなった部屋を見て今度は笑いが込み上げてきた。
今まで自責の念に駆られていたが全部あいつらのせいじゃ無いか、と思うようになった。先程までそこまで迫っていた自害が他害に変わった瞬間だった。
自分は悪くない、何であんなに謝っていたんだろう。本質を見ようとしないクソみたいな奴らのせいで自分はこんな事になってるだけだ。誰も味方じゃないし全部敵。何で自分が死を選ばなきゃならない?死ぬのはアイツらだろう、と思った。