少年時代を大阪で過ごすが、戦況の悪化と共に商都大阪も
米軍B29の無差別空爆にさらされるようになる。
燃え盛る炎で一帯は火の海となり、地獄を目撃してしまったのだ。
逃げまどい泣き叫ぶ人々に追い打ちをかける機銃掃射。
バタバタと人が倒れ、辺りには人が焼き焦げる臭いが立ちこめ、
熱風も生臭い。
幼心に権力構造が崩壊する様をつぶさに観察していたのである。
一家は和歌山の那智勝浦に疎開し、そこで終戦を迎える。
戦後はギブミー精神を発揮し、なんと傍若無人の限りを尽くした
敵国に渡米するのだから恐れ入る。
彼の類い希な権力志向と頽廃的で歪んだ性的嗜好は
敗戦を前後としたドサクサに形成されていったものと思われる。