刑務所では年間2000件超の暴行

法務省によりますと、2016年の1年間に刑務所や少年院などの刑事施設で起こった受刑者同士の暴行はおよそ2100件にのぼります。
そのうち、全治1か月以上の重傷を負った事案は6件ありました。

暴行の原因は、ほとんどが受刑者同士のけんかです。
けんかの理由は「相手の生活態度が気に入らない」「担当の仕事をきちんとしない」など、些細なものばかりで、1対1のけんかもあれば、1人対複数人のけんかもあるということです。
多くが素手での殴り合いですが、時には椅子など備え付けのものが使われることもあります。

寝ても覚めても一緒の生活

刑事施設では、どのような場面でけんかに発展しているのでしょうか。

基本的に、受刑者は点呼や身体検査など集団行動をとっている時間は刑務官に監視されています。
それ以外の時間に受刑者同士の交流が生まれ、けんかに発展しているのです。

まず、受刑者が多くの時間を過ごす居室ですが、個室から最大6名程度収容するものまで様々なタイプがあります。
この居室では、就寝から朝・夕の食事、自由時間など、作業以外のほとんどの時間を過ごしています。
さらに日中の作業では、同じ居室の者がそのまま同じグループで作業に就くことが多いので、寝食を共にする同部屋の者と日中の仕事でも近い距離にあるケースが多いといえます。

そのため、ある特定の人たちとほとんど寝ても覚めても生活を共にしている状態が続くのです。

気が合う相手ならまだしも、他人との生活ですから、このような状況下でトラブルが頻発するのはある意味仕方ないのかもしれません。