昨年10月、東京都豊島区の簡易宿泊所で宿泊客の木村清己さん(71)が殺害され、金品が奪われた事件で、警視庁は強盗殺人容疑で、「夜回り組長」として知られ、石原伸司のペンネームで作家活動をしていた男性を被疑者死亡のまま、書類送検した。

 石原氏は3月に公園で男性を切りつけた後、隅田川に飛び込み、溺死。周囲に「死にたい」と話していたといい、警視庁は自殺の可能性があるとみている。

「木村さんを殺害後、腕時計を奪い質屋に入れて換金していた。その防犯カメラに映っていたのが石原だった。行方を追っていたところ自殺したことがわかった」(同捜査関係者)

 多数の著作もあり、雑誌などにも連載をもっていた石原氏。殺人事件などにかかわり、20年以上刑務所暮らしの後、「夜回り組長」を名乗るようになり、作家活動をはじめた。

 繁華街で、若者の悩みを聞き、自分の体験をもとに励ましてぐれないようにという活動は、大きく注目され多数の著作やテレビ出演、週刊誌でも連載を持っていた。私生活でも、神奈川県の資産家女性と親密に交際し、羽振りよく赤坂や新宿で豪遊していたという。

 だが、知人はこういう。

「資産家女性とトラブルになり、別れた後、落ちぶれてしまった」

 最近でも、昔の仲間やマスコミ関係者に「金を貸してほしい」という電話が頻繁に入っていた。電話を受けた知人によれば、「1万円、いや3000円でいいから都合してくれと、切羽詰まった様子だった」という。

 知人によると、石原氏は最近、いらない服を知人に送りつけて「買ってくれ」と押し売りをするなどトラブルが絶えなかったという。石原氏は「夜回り組長」と自称していたが実際は違ったようだ。

「若い衆がいたこともなく、実際には組などはもっていなかった。ただ組員で、幹部などの役職にもついたことはなかった」(前出の知人)