神戸山口組の中核組織「山健組」の幹部が、SNSに投じたこの投稿ほど、山口組抗争劇の“虚しさ”を伝えるものはない。

7月に入って始まった山健組の分裂騒動が収まらない。

何度も緊急会合が開かれ、現在、殺人未遂容疑で逮捕され拘留中の中田浩司5代目山健組組長が、神戸山口組を離脱する意向だということが示されているものの、その“真意”を巡って激論が続き、「(山口組の)菱の代紋を捨てて、一本どっこでやっていけるのか」という現実論もあって結論が出ない。

離脱騒ぎで、苦しい立場に追い込まれているのが、山健組の先代組長で神戸山口組を率いる井上邦雄組長である。
「会費の減額に応じず、自分だけいい目を見ている、という風評への反論です。まず、『苦しいのはみんな同じやないか。(会費の支払いを)出来んもんは仕方がない』と、会費減額に理解を示し、守銭奴批判に対しては、『中田にカネを用意させたことはない。逆に、組を譲る時、5000万円渡したほどや』とのことでした」(山健組関係者)

結論が出ない背景には、こんな井上組長の説得工作もある。

中田組長は、昨年12月、銃撃犯として逮捕(本人は否認)され、勾留が続いており、弁護士を通じた山健組の状況報告と、それを受けた組長からの指示が統一されておらず、それが井上、中田両氏の親分子分の関係を複雑なものにしている。

生活費や警護費が月300万円…

「カネ絡みの話では、山健が負担している井上組長の生活費や警護費などが月に300万円。今の情勢では、それはキツい。だから減額を中田組長側は申し入れ、それを井上組長は呑んだうえで、『ワシの分はええ。ただ、部屋住みの子らの給料は出してやってくれ』と、伝えた。それが中にいる中田組長には、『呑めん。なんとかせんかい』と、伝わった」(山健組幹部)

井上組長にしても、数人の部屋住みの若い衆を置いて警護させ、亡くなった渡辺5代目の姐さん宅の警護要員だけは、確保したいと申し入れ、山健組への要求はそれだけだという。その言葉の行き違いが、分裂騒動の起点というのだからいじましい。