スターバックスの前を通りがかる
それは午後の昼下がりだ
店内は客も少しだけ減ったぐらいの時間が狙い目

シルバースーツを着こなしたおれがスターバックスに入ると
さらに店内の敷居が上がる気がした
コツコツと高級革靴を鳴らしながらカウンターに向かう

決まっておれは頼むものがある

「バニラクリームフラペチーノにカスタマイズ。
エスプレッソショット。あと、シナモンパウダーもね」

これでウィンクする

店員はばっちり笑顔が咲く

(ハイセンスな貴方にお似合いですね)
(そうだろう?)

席につくとおれはipadを取り出して予定表やプロジェクトを眺める

「あのう・・・新作のケーキなんですけどいかがですか」

店員が紙カップの中のオレンジ色のケーキを差し出す

「ありがとう。そこに置いてくれるかな」

飲み頃のフラペチーノに口をつけて店員が頬を赤らめながらコーヒー豆をドリップする姿を眺める
やれやれと苦笑してロレックスを見るとそろそろ商談の時間だ

プロフェッショナルに生きる男にはスターバックスはぴったりなのだろうと確信したよ