昔、幼馴染に天才がいた。
彼は同い年で、中学までは一緒だった。
彼は頭の回転がとても早くて、周りをよく見れる優しい奴。顔もスタイルも良くて、笑った顔が最高にイケメンな奴。

天才と言っても、何もかもができるような奴じゃない。
体育は陸上以外はからっきしだったし、陸上だって推薦は来たけれど、全国常連ってほども突出したものがあるわけでもない。

彼の成績は物凄く悪かった。いや、学年で1番悪かった。
彼のテストの答案用紙は3年通して全て白紙だし、得意の陸上ですら披露することはなかった。

勉強ができないわけではなく、むしろその真逆。彼は授業中すべてサボりや睡眠に費やし、提出物も全く出さなかったが、わからないところを問えば、彼の口からは全てが答えが帰ってくる。
彼は教科書をめくるだけですべてを理解していた。数学なんかは、教科書なんてなくても式をみて直感ですべて解いていた。

「なんで真面目にやらないの?高校いけないぞ?」幾度も聞いた質問だが、帰ってくる言葉は決まって「生きる意味がわからないから」だった。

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