開戦前と変わらぬ暮らしを享受している友人達の姿を尻目に、戦いに参加することで変わりゆく世界を最前線で感じることが出来る自分。古めかしい装飾の制服すらも誇らしかった。
 そして何より、私の搭乗を待つ美しい曲線を描いた巨人。造られた風ではなく、自らの足で踏み出して風を切り、思う様駆け回りたい。その想いはこのMSからも伝わってくる。
 予定調和に管理された天候の中、自らの吸う空気すら対価を必要とする小さな揺り籠は、まるで自分の中にある矮小な価値観を具現化したかのようだった。そんな自分を打ち破る為にはここに居てはいけないとも思った。