『…敵が来るぞ』
 大尉の言うとおり、レーダーには複数の熱源反応。加えて、上空から確認したトーチカも可能な限り破壊しなければならない。
「中尉達はまだ来ないな」
『ぼちぼち来るさ。あんまり離れ過ぎると少佐に怒られるからな』
 ちらほらと上陸する部隊が現れ始めたが、まだ上空でも敵の抵抗は続いていた。朱雀がメガ粒子砲を放つのがここからでも見える。
『…尉!…が…!…』
 不意に通信が入った。距離が開いている上にミノフスキー濃度も濃くなってきたせいか確実な傍受が出来ないが、アトリエ中尉らしき声だった。
「どうした。何があった」
『…駄目だな、俺も聴き取れない』
 サドウスキー大尉も受信出来ていない様だ。

 程なくして、レーダーに現れた反応で私は事態を把握することとなった。

51話 血路を拓け