私とサドウスキー大尉は前線の穴を抜け、目前に広がる敵拠点を捉えていた。高低差のある複雑な地形にかなりの数のトーチカや各種設備など、ティターンズがこれまでこの地を重要視してきたことが垣間見える。
 とはいえMSで接近するのはそれ程難しくなかった。殺気や覇気といったものが感じられない、ある種不穏な空気があるだけだ。
「抵抗が弱過ぎる気がする…」
 基地へ迫りながらサドウスキー大尉に疑問を投げた。いくら敵も連戦で疲弊しているとはいえ、近づくのが簡単過ぎる。
『…ジャブローのことでも思い出したか?流石にここで核みたいな大量破壊兵器を使うメリットは小さいと思うぞ』
「確かにな。だが、容易く上陸を許すからには何かある筈だ」
『それを確かめるのも俺達の仕事さ。何かあるとしても俺達が未然に防げれば本隊に影響を出さずに済む』
「…大尉の言うとおりだ。とにかく今は中尉達のお迎えの準備だな」
『そういうことだぜ』