程なくして、艦内に放送が響いた。
『総員、第2戦闘配備。程なく敵基地空域に入る。それぞれの持ち場で待機せよ』
「行ってくるんでしょ?気をつけてね」
 メアリーが小さく手を振る。ワン中尉もウィンクで返した。
「またいっぱい話しましょうね。ブリッジに居るから、何かあればいつでも呼ぶのよ」
「わかった。多分呼ぶと思うわ」
 メアリーは何か感じているようで、少し大人しくなった。ニュータイプは第六感を働かせるというが、メアリーにもそれがある様だった。
「私にはメアリーみたいな感は働かないから、頼りにしてるわ」
「どうぞ頼って」
 そういってメアリーは笑った。この笑顔の為にも戦おう。ワン中尉の頭をまた姉の姿がよぎったが、振り払おうとは自然と思わなかった。

50話 姉の姿