「まあ良いけどさー」
 そういいながらメアリーは足をバタつかせた。
「…おじいちゃん居なくなって、あんな事すればよかったとか、あんな事言えばよかったとか、いっぱい出てきた」
 ソファの上で体操座りしながら、メアリーがスギ艦長の話を始める。
「あたし途中から乗せてもらったからそんなに沢山遊んでもらった訳じゃないけど、もっと助けてあげたら良かったなって。
 今からじゃ遅いけどここは今だっておじいちゃんの艦だから、あたしもできる事から始めたの」
「とても偉いわ。ほんとに」
 メアリーが頑張っているのはワン中尉以外のクルーもよく知るところだ。
「だからね、メイも今できることをすべきよ」
「言うとおりね」
「正直に、ちゃんと伝えなきゃ」
「…誰に?」
「あたしは知らないわ。教えてくれないんだもん」
 そういってメアリーは笑った。ワン中尉も釣られて笑う。
「そうね、進展あったらメアリーに最初に言うわ」
「約束よ?」
「もちろん」
 その後も2人で取り留めもない話を続けた。小さい頃の話、好きなモノや好きなこと…。メアリーは色んなことを話してくれた。
 ワン中尉を育ててくれた姉も、きっとこんな風に話を聴いていたのだろう。そう思うと懐かしい心地がした。