「…ところでさ」
 何やらニヤニヤしながらワン中尉の顔を覗き込むメアリー。
「どうかした?」
「メイってさあ…ベイトとスティレットのどっちが好きなの?」
 ワン中尉は思わず赤面した。そんな風に見られていた恥ずかしさと、聞かれてあながち間違っていないと感じた2択に自分の心が少し揺れるのを感じたからだ。
「何よそれ!」
「そのまんまよ。焦っちゃって!かわいいんだから」
「大人をからかうもんじゃないわよ」
 ワン中尉はついついはぐらかす。どっちが子供なんだかと我ながらおかしかった。
「ベイトもああ見えてしっかり者だし、スティレットは優しいしイケメンよねー」
「そんな事より仕事よ仕事!」
 ワン中尉は思わず席を立った。
「あらかた終わったって今言ったじゃない」
「む…」
「で、どっちが良いのよ」
 相変わらずメアリーはニヤついている。何だかアトリエ中尉に似てきた気がする…。
「私は…」
 そこまで言ったものの、やはり言葉は出てこなかった。それがまたこ恥ずかしくなって、ワン中尉は耳が熱くなった。再びソファへ乱暴に腰を落とす。