そして月日は経ち、宇宙世紀0087年。
 デラーズ紛争による被害などを理由に残党狩りを続けていた地球至上主義を標榜するティターンズと、それに対抗すべく発足した反地球連邦組織エゥーゴの戦いが遂に表面化していた。
 私の元にも一年戦争時の仲間からエゥーゴ参加の打診が来たが、返事はしなかった。

 正直にいうと私は恐れていた。ティターンズのような、この星に生まれこの星に根ざした価値観というものに私達は敗れたのではないか。
 何の為に再び戦うのか、私にはその理由を見出すことも出来なかった。戦う事で何か変わったとでもいうのか。
 終戦を認めず戦い続けたデラーズフリートはティターンズの跳梁を許し、また戦いの火種を作っただけではないか。
 エゥーゴに参加し、よしんば勝利したところでまた同じことを繰り返すだけではないのか。その螺旋の中心にあるこの星の重力が恐ろしかった。