次の瞬間、大きく水しぶきを上げて海が割れた。
 そこから出てきたのは重装備のザクII。
 特徴的なのは一般のザクにはない一本角。そして、海では異様に目立つ赤いボディカラー。

バナージ「あれは……!」
シャア(一年戦争)「フ……」
マクギリス「赤い彗星、シャア・アズナブルか!」

 海上に現れたシャア専用ザクは一直線にドロスへ向かう!
 その速度は、まさに通常の3倍! 到底他のMSでは追いつけない。

ガルマ「シャアが……シャアが来る!」
キシリア「シャア!?」
ドズル「シャア!」
ギレン「対空砲火、何をしている! 早くあのザクを撃ち落とせ!」
デギン「ギレン、突然何を……シャアならば、我々の味方ではないのか?」

 シャア専用ザクは恐るべき機動力で飛んでくる銃弾を回避。
 多少の被弾も、後で拭けばいいとばかりに気にする様子はない。

ギレン「お分かりにならないのですか!? 奴が……シャアが狙いを定めるターゲットは、我々ザビ家なのです!」
デギン「なんだと!?」
シャア(一年戦争)「気づいたところで……もう遅い!!」
ガルマ「シャア!」
ドズル「シャア!」
キシリア「シャア!」

ギレン「シャア!」
デギン「シャア!」
ミネバ「シャア!」

 遂にシャア専用ザクはドロスの前まで到達した。
 そして、ザビ家が全員揃ったブリッジに向けて、バズーカを構える。

シャア(一年戦争)「ザビ家の諸君。私の手向けだ。あの世では一家仲良く暮らすがいい」

 終わった。ザビ家の誰もが例外なくそう思った。
 その時だった。

ベルリ「──スコーーーーーーーーーーーーーード!!」
シャア(一年戦争)「なに!?」

 突如として後ろから猛追してきた青いMSが、シャア専用ザクに体当たりを仕掛ける。
 あれはベルリの駆るG-セルフだ。
 いち早くシャアの目的に気づいたベルリは、一人、凶行を止めるべく猛追してきたのだ!

シャア(一年戦争)「ちい! この機体、ガンダム兄弟のMSか」
バナージ「ベルリ!」
ベルリ「こいつは僕が何とかする! バナージはその間、早くみんなを避難させて!」

 ベルリは通信機に向かって叫んだ。
 そしてシャア専用ザクに組み付いたまま、G-セルフは海岸からどんどん遠ざかっていく。

バナージ「ベルリ────!」

 赤と青の影は、そのまま遠く、見えなくなった。

ベルリ・ゼナム【G-セルフ(パーフェクトパック装備)】
VS
シャア・アズナブル(一年戦争)【シャア専用ザクII】開戦――!