ドロス:甲板
キシリア「ただのジムとはどういうことだ!」

 甲高い金切り声をあげるキシリア。しかしセイは平静な顔で繰り返す。

セイ「どういうこともなにも、そのままの意味ですよ。このサイコジム、中身に特別な機構は何もありませんでした。
   ていうかぶっちゃけただのジムです。無駄に大きいだけの」
キシリア「ええい、やはり貴様のような子供では話にならん! おい、さっさと技術者を呼んで来い! このMSを解体して詳しく調べるんだ!」
セイ「ム、ただの子供とは聞き捨てならないですね。僕はガンプラバトル世界チャンピオンですよ?」
キシリア「だから、ただの子供のお遊びだろうが!」
セイ「遊びじゃありません! ガンプラ作成は全ての技術に通じるんです! 僕はある高名な博士に協力して、MSの開発を手伝ったことだってあるんですよ!」

 セイとキシリアがキーキー言い合っている横で、乗っていた少女たちの態度は醒めたものだ。

プルツー「ああ、やっぱりね」
プル「MAとの戦いの後、急にあのイヤな感覚がなくなったものな」
アルミリア「確かに、今のサイコジムからは何の恐怖も感じませんわ」
カーラ「さっきゲージも調べてみたけど、ただの飾りのガラス板だったよ」
ギレン「……で? どうするのだキシリア? このただのジムを、わざわざザビ家に持って帰るのか?」
キシリア「ええい、不愉快だ! おい貴様! こんなガラクタさっさと海にでも沈めてしまえ! わたしはブリッジに戻らせてもらう!」
 
 そういってキシリアはプリプリと怒りながら去っていった。

ギレン「だ、そうだ」
プル「ふう、よかった」
マリーメイア「今はもうただのジムとはいえ、またいつあの力が目覚めるかわかったものじゃないからな」
アルミリア「こんな危険なもの、誰かに渡すわけには参りませんわ」
セイ「惜しいなあ。ぜったい解析して、ガンプラ技術に活かすべきなのに」
プル「パパもありがと〜話を合わせてくれて」
ギレン「ふん、私もただ、あの力は人類が扱うには早すぎると判断しただけだ。あと、パパと呼ぶな!」
プルツー「またまた。嬉しいくせに」